ムーミン・コミックス第1巻『黄金のしっぽ』レビュー。

2020年11月2日

何も知らずにムーミンコミックス展に行ってみたらコミックスを読んでみたくなった。

探してみるとAmazonにて中古本が265円(送料込み521円)という安さだったのでゲット。

本の状態をざっくりレビューしたあとお話そのものをレビューをします。ネタバレは控えめに、予告編くらい香る程度に。

ムーミンコミックスが気になる方はもちろん、Amazonの中古本がどんなものか気になる方のお役にも立てると思うのでぜひ最後までお付き合いくださいませ。

本の状態

表紙側

表記されていたコンディションは「可」。

コンディションは良い順に「ほぼ新品」「非常に良い」「良い」「可」なので、いちばん下のランクである。

この本が「可」になっていた最大の理由は表紙カバーが無いことらしい。

表紙カバーって大事なのね。

裏表紙側

本そのものはランクがいちばん低いとは思えない綺麗さだった。

もちろん使用感はあるし、端っこが擦れていたりポチポチ小さな染みがあったりするけれど大したことはない。

ページの破れや書き込みも見当たらず、読んでいる間は中古だということを忘れていた。

背表紙側

とはいえ、私は中古本というものがもともと得意分野である。めちゃくちゃカビている本でもぺらぺらめくって読み進めることができる。

なので、ちょっと潔癖だったり「見知らぬ他人が使ったもの」がなんとなく嫌だなという人には絶対オススメできない。

目安としては図書館の本が平気な人は平気だと思う。

ムーミンコミックス第1巻『黄金のしっぽ』レビュー。

第1巻は表題作「黄金のしっぽ」と、「ムーミンパパの灯台守」の二本立て。

黄金のしっぽ

お話は、ムーミンが「しっぽがハゲてきた」と悩んでいるところから始まる。

治療したらふさが生えてきたものの単なるしっぽではなく、なんと黄金のしっぽになった。

この黄金のしっぽは話題になり、新聞にのったりファンレターが届いたりとムーミンは一躍人気者に。

しかしそれと同時にプライバシーはなくなってしまう。さらに黄金のしっぽを商品のように利用して色んな人が好き勝手にお金を稼ぎはじめ……。

というお話。

「名声」の風刺だった。

風刺の濃縮還元。

「名声を持つって大変なんですよ」という道徳っぽいメッセージだけでは終わらない。

名声を手にした相手をコンテンツとして徹底的に消費するマスコミや、有名な人物にバッと群がっては離れていく民衆などなど……。

現代でもまったく違和感なくキレのある風刺だった。

ムーミンで描かれるリアルな「名声」が最後はどんな着地点におさまるのか、ぜひ読んでみてほしい。

ムーミンパパの灯台守

お話は、ムーミンパパが灯台守の求人広告を見つけたところから始まる。

灯台で海の小説を書こうではないかとテンションの上がったムーミンパパは、気乗りしない家族を連れて海へと出発。

そして到着した灯台でのあわただしいお話。

こちらは表題作「黄金のしっぽ」に比べると柔らかい印象だった。

たとえば現代なら、二次創作などなんらかの創作をしたことがある人はムーミンパパに共感できると思う。

いざ書こうとパソコンに向かったのに家族に喋りかけられて鬱陶しかったり。

かと思えば気を遣ってリビングでひっそり談笑している家族に混ざりたくなったり。

創作意欲のまわりをぐるぐる回っているようなモヤモヤをムーミン谷の世界観で追体験できる。

そしてムーミンパパ以外のキャラクターたちも「なんか、あるあるだよね」という動きを見せてくれるから飽きない。

全体的には、コメディとしては笑える要素が弱いしストーリーにも大した起伏はないのだけれど、親しみやすくてグイグイ読み進めてしまうお話だった。

まとめ

予想以上に風刺が効いていた。

ムーミン谷の世界観が好きな人、そして風刺のチクチク感が苦手ではない人はぜひ。

中古本に触れるのが平気な方はAmazonで送料込み500~600円くらいのものがあるのでぜひチェケラ。汚れ方は本それぞれなので注意書きを一読してみて決めるのがおすすめ。

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