シルバニアファミリーの歴史。赤ちゃんがツイッターで愛されるまで。

ツイッターを覗くと、シルバニアの赤ちゃんが溢れている。

シルバニアの赤ちゃんはいつからこんな風に愛でられているんだろう。なぜこんなに人気なんだろう。

というわけで、今回は新参者なりに、赤ちゃんの歴史をまとめて考察してみた。

出典は『シルバニアファミリー展 大図鑑』(以下、図録)です。

前回に引き続き長い記事になるので、今回は案内人をご紹介。

いちばん最初のファミリーのひとつ、「ウサギファミリー(グレータイプ)」のお母さんです。

レッツゴー。

1980年代

1985年に、シルバニアの歴史がスタートした。

初期は赤ちゃんの存在感がめちゃくちゃ薄かった

ファミリーの人数にばらつきはあるが、みんな共通して、それぞれの家族に赤ちゃんは1人ずつ。今と比べるとまず赤ちゃんの数自体が少ない。

と言い切ったものの、例外もいる。

鳥類ファミリーだ。

彼らは赤ちゃんが3人。フクロウファミリー(1986年)、アヒルファミリー(1988年)、そして海外版のペンギンファミリー(発売年わからん)は、みんな両親&赤ちゃん3人という組合せ。

というわけで、鳥類ファミリーは横に置いておくとして。

各家庭に赤ちゃんが1人ずついるのだけども、この赤ちゃんたち、存在感が薄い。宣材写真にも、赤ちゃんは完全な脇役として写っている。

たしかに「シルバニアファミリー」というコンテンツは名前のとおり捉えれば、主役は「シルバニア村のファミリーたち」。

赤ちゃんにがんがんスポットライトが当たらないのも普通ではある。

が、しかし。

じつはこの80年代から、赤ちゃんが注目されそうな気配はある。

まだ家具数の少なかった1987~88年に、赤ちゃん用のセット家具が3種類も発売されたのだ。

ほかにも季節限定セットとして「赤ちゃんサンタクロース(1989)」も発売された。

発売されたということは、赤ちゃんに人気があったということだろう。公式は「売れる」と思わなければ作ってくれない。

どうやら初期から赤ちゃん人気はあったらしい。

じゃあ、どの層から人気だったのか。

現在ツイッターを見ている限り、赤ちゃんを愛でているメインの層は大人だ。

初期も大人から人気があったんだろうか。それとも初期は、子どもたちが赤ちゃんを愛でていたんだろうか。

そんな疑問に答えてくれる商品がある。

「赤ちゃんカレンダー」だ。

1987年、赤ちゃんが木枠のなかに31人詰まっているという、実にシュールで激烈に可愛い「赤ちゃんカレンダー」が数量限定で発売された。

これは明らかに観賞用。どう考えても、大人のオタク向け商品だろう。

ということはおそらく、赤ちゃんを愛でていたメイン層は当時から大人だったんだと思う。

シルバニア全体を見れば、ほかにもヒントがある。

木製ハウス(1986)

たとえば1986年発売の、「木製壁掛ハウス」。

これは「シルバニアをインテリアみたいに楽しめますよ」という趣旨のハウスだ。すごく素朴なお家で、デザイン自体がもうインテリア寄り。

この「木製壁掛ハウス」はコンセプトを見ただけで大人向けの商品だと分かる。子どもが遊ぶためのハウスじゃない。

このハウスが発売されたということは、シルバニアというコンテンツそのものが、初期の時点ですでに、大人からも人気を集めていたということだ。

この大人たちが赤ちゃんを愛でていたとしても不思議はない。

1990年代

90年代は赤ちゃんにスポットライトが当たる時代だ。

赤ちゃんがガンガン来ている。

まず注目すべきは、家族構成が変わったこと。1992年にふたごの赤ちゃんが登場したのだ。

しかも、すでにいた赤ちゃんはそのまま据え置き。

つまり赤ちゃんが、各家族に3人ずつになった。これ以降00年代のおわりまで、ファミリーは赤ちゃん3人ずつで固定されている。

さらに同じく1992年には、オモチャや、赤ちゃん+オモチャのセットがあわせて20種類以上も発売される。

この時点で、赤ちゃんが今までと違う。

今までになかった存在感を放ちはじめているのが分かる。

そんな時代のなかで極めつきが「赤ちゃん広場シリーズ」だ。

赤ちゃん広場シリーズ

「赤ちゃん広場シリーズ」とは、公園の遊具をもっとメルヘンにしてサイズも大きくしたような、独特の世界観をもっているシリーズだ。

シルバニアの歴史が始まってからわずか7年で、自らが主役のシリーズを与えられた赤ちゃん。

しかもこの「赤ちゃん広場シリーズ」は、初期のシリーズものの中で、いちばん長期にわたって展開された。1992年から1998年まで毎年新しい商品が発売されたのだ。

怒涛の90年代。

なんと「赤ちゃん広場シリーズ」だけでは終わらない。

1996年にはじまった「おとぎの国シリーズ」も、宣材写真を見ている感じだと、赤ちゃんが主役のシリーズといっていいだろう。

おとぎの国シリーズ

そして1996~98年には、「赤ちゃんコレクション」も発売された。赤ちゃんたちがお店のごっこ遊びをしているセットだ。

さらに図録を見ている限りだと、90年代の季節限定セットは赤ちゃんの独壇場。

もちろん、これだけ赤ちゃんがガンガン来ていたのには、理由がある。90年代という時代自体、シルバニア全体が充実した時期だったのだ。

赤ちゃんに限らずシリーズはいくつも登場したし、家具も着せかえもお家もお店屋さんも、幅広くたくさん発売された。

でも、図録をぜんぶ読んでもやっぱり赤ちゃんの勢いがすごかった。

何がすごいって、80年代の扱いと比べたときの差だ。あんなに脇役だったのに。

何度でも言う。

赤ちゃんがガンガン来ている。

2000年代

00年代に入ると、初期のそれとは明らかに雰囲気が違う。

たとえば「ぶどうの森のお家(2001)」の宣材写真。

どう見ても、全部屋がベビールームなのだ。

ここは幼稚園なのかと疑うほどオール・ベビー・ルームなわけだが、幼稚園は幼稚園でシルバニア村に存在している。

「赤ちゃん広場シリーズ」にとって代わるようにして、2000年に「森のようちえんシリーズ」が登場したからだ。

家じゅうベビールームなのは謎だが、公式はその写真を宣材写真として掲げることで「売れる」と思ったから、そうしたんだろう。たしかに可愛いのは否めない。

そんなこんなで冒頭から赤ちゃん人気の沸騰を感じる00年代。

2004年には、ふたごの赤ちゃんのポーズがリニューアルされる。

我々はもうこの程度のことでは驚かない。

そして2003年から赤ちゃんハウスが発売され、2005年には新しい「赤ちゃん広場シリーズ」と赤ちゃん主役の「シルバニアの日シリーズ」が登場して、2009年には「赤ちゃんゆうえんちシリーズ」……。

90年代の「赤ちゃん広場シリーズ」のように長期間にわたるシリーズこそないものの、赤ちゃんメインのシリーズが手を変え品を変えぽこぽこと登場してくる

00年代は、すでに赤ちゃん人気が定着しているように見える。

ちなみに、現在のシルバニアファミリーの主人公、ショコラウサギファミリーが登場したのも00年代だ。

2010年代

ようちえんシリーズも相変わらず展開されているし、ふたごちゃんが再びリニューアルされたりと新しいできごとはいくつもある。

そんな中でも特に、私が新時代を感じたできごとは2つだ。

1つはみつごちゃんの登場(2018)、もう1つは「赤ちゃんコレクションシリーズ(2018~)」。

みつごちゃんが登場したのは2家族。

マシュマロネズミファミリー(2018)とペルシャネコファミリー(2019)のみ。

特にペルシャネコファミリーがすごい。赤ちゃん+ふたごちゃん+みつごちゃんという計6人の組合せで、家族内に占める赤ちゃんの割合がまさかの60%に。

そんな感じでシルバニア内で赤ちゃんが増えに増えているのも驚きだし、さらに驚きなのが、2つめの「赤ちゃんコレクションシリーズ」。

今のところ、赤ちゃん音楽隊シリーズ(2018)と、赤ちゃん探検シリーズ(2019)の2つが展開された。

何が驚きかって、まずコンビニで買えることと、中に何が入っているか開けてみるまで分からないという、ガチャガチャ的要素がつよいこと。

シルバニア史上、コンビニで買えたものが他にもあるかは分からない。

でも、コンビニという、現代日本の需要をじっくりコトコト煮つめたようなあの空間で、シルバニアの看板を背負って売り出す商品が「赤ちゃん」単体なのは、たぶん初めてじゃないだろうか。

これは00年代ともまた雰囲気が違う気がする。

2001年発売の「ぶどうの森のお家」の宣材写真がオール・ベビー・ルームだったことはすでにお話ししたが、あの宣材写真で売っているメインの商品は、あくまでもお家だ。

しかし「赤ちゃんコレクションシリーズ」で売っているのは、赤ちゃんそのもの。

中に何が入っているか分からないから、ガチャガチャみたいな感覚で、コンプリートを目指したりたくさん集めたりする。

シリーズ名は1996~98年の「赤ちゃんコレクション」を受け継いでいるけれど、趣旨はまったく違うと思う。

「#シルバニアの赤ちゃん」

私はここまで図録を読んで、最近ぼんやり感じていたことを言葉にできた。

つまり現在ブームを巻き起こしているのは「シルバニアファミリー」ではなく「シルバニアの赤ちゃん」なのだ。

初期から大人に愛でられていたらしい赤ちゃんだが、SNSの進化といっしょにその人気は加速し、ついに赤ちゃんのみが掬われてスポットライトを浴びるまでになったのだろう。

ツイッターで人気の写真を眺めてみると、シルバニアの赤ちゃんがリアルの日常生活に溶け込んでいるような写真が多い。

なぜ、お家や家具やほかの人形ではなく、赤ちゃんなんだろう。

私は考えた。

考えに考えた結果、これはもうシンプルに赤ちゃんがめちゃくちゃカワイイからだなと思った。

そして現実的な問題として、家や家具はかさばるから。ちょっとお高いし。

赤ちゃんは小さくて安価で、とても手軽に癒される。持ち運びもカンタンにできる。

ここでひとつ、勘違いしてはいけないことがある。

名前は「赤ちゃん」だが、たぶん現実の赤ちゃんのかわりにしているわけではないだろう、ということだ。

「自らの身を削って守るべき対象」ではない。むしろシルバニアの赤ちゃんは、「自らの身を削るべき」と何かにつけて、受験だ就活だ社会だ家庭だと圧をかけてくる世間から、守ってくれる。

守護霊のように、私たちは赤ちゃんに守られている。

シルバニアの赤ちゃんとは、疲れた現代人を癒してくれる小さな妖精なのだ。

ここで、シルバニアファミリー全体を見てみよう。

2019年には「きいちご林のお家」という、小さいお家が発売された。

ほかのお家に比べて場所を取らないし、Amazonで2,000円ちょっとで買えてしまう安価なお家だ。そしてショコラウサギの赤ちゃんが1人ついてくる。

お気づきだろうか。

「赤ちゃん単体の人気」は、シルバニアの今後を大きく変えるかもしれない。

少し前まで、お家は大きければ大きいほどよかった。でも今後は違うんじゃないだろうか。

小さいお家。かさばらず安価なセット。

そういうものが増えていくと思う。

さいごに

『シルバニアファミリー展 大図鑑』、シルバニアファミリー展のパンフレット&チケット、本気の塗り絵

赤ちゃんがこれほど人気を集めるとは予想外だったろうに、公式はつぎつぎと需要どんぴしゃの商品を生みだしてきたらしい。公式、もといエポック社の柔軟さに驚かされた。

そして私はここまで長々と書いておいてシルバニア新参者なので、シルバニアファンの方、「ここ違うよ」という部分があったら教えていただけるととても嬉しいです。

ここのコメント欄でも、ツイッター(@satouao)でも大歓迎です。

長い長い記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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