一眼カメラでぬい撮りした1年間を、写真でふりかえる【シルバニア】

2020年10月29日

「せっかくぬい撮りするなら、一眼カメラでプロっぽい写真を撮ってみたい」

そんなふうに思っているアナタに読んでほしい。

これは、私の1年分のぬい撮り奮闘記である。

2020年4月撮影

失敗やら教訓やらをぎゅっと詰めこみつつ実際に撮った写真たちをじゃんじゃん載せてみた。

最後まで読んでもらえればきっと、私よりもっとラクに一眼カメラを楽しめる。

私は部屋の中でシルバニアファミリーを撮っているのだけど、おでかけする人やシルバニアファミリー以外のぬいぐるみを撮る人にも、参考にしてもらえる部分は多いと思う。

できれば1年前の私にも読ませたい。

プロローグ

さかのぼること1年前。

まだ梅雨の明けない、2019年7月のことである。

万年床もとい寝室にて久々のシルバニアファミリーを前にしながら、写真ド素人の私は一眼カメラをかまえた。

10年前のデジタル一眼カメラに、あろうことか40年前のフィルムカメラ用レンズがくっついているというボロボロな代物(カメラ好き父のおさがり)。

何がいけないって、ふつう使えるはずの自動モードを使えない。

カメラとレンズは、バッチリ機能できる組合せというのがある。

私のカメラは、その組合せをゴリゴリに無視していた。

それゆえピント合わせやら背景のボケ具合やら、カメラ初心者の手に負えない部分までぜんぶ手動なのだ。レンズにくっついている輪っかをグルグル回して調節しなければならない。

2019年7月撮影

最初のころはひたすら「なんだこの写真を撮れないカメラは」と絶望していた。

ありえないくらい明るいor暗い写真の数々……。

ちょうどいい明るさで撮れたと思ったところへトドメのピンボケ。

いじれるボタンや輪っかをやみくもにいじりながら写真らしい見た目になるまでガンガンシャッターを切った。

2019年7月撮影

というわけで、私のぬい撮りライフはお世辞にも幸先のよいとは言えないスタートを切った。

あれから1年経つ。

めざす写真は1年間ずっと変わらず「お人形がまるで本当に生活しているみたい」な雰囲気だ。

そんなぬい撮りライフを振り返ってみると、なぜかしんどかった時期が多い。

「あの時はしんどかったなぁ」「あの時もなぁ」と思い出していたら、どうやら同じようなサイクルを何度も繰りかえしていることに気づいた。

➀上手く撮れない
➁写真しんどい
お悩み解決アイテムをゲット
④写真楽しい!

驚いたことに「明るさが…」「ピントが…」という悩みを解決してくれたのは、技術ではなくアイテム。

道具だったのだ。

びっくり。

ざっくりとこのサイクルを4周していたので、1周ずつ振り返っていこう。

(ちなみに私は撮った写真をゴリゴリ編集加工するのが好きなのだけど、いっしょに書くとややこしくなってしまうので、編集加工についてはまた別の記事でお話ししたい)

(そして多少は「こういう角度で撮るとキレイ~」など技術的なアレも獲得しつつあるので、それについてもまた別の記事でお話ししたい)

私のぬい撮り奮闘記

第1サイクル「サイズ感との戦い」

2019年8月撮影

「まるで本当に生活しているみたい」な雰囲気って、どうやって出すんだろう。

あれこれ撮ってみるけどなんだかしっくり来ない。

たとえばこの写真。

2019年7月撮影

もしこのお人形が人間サイズで生きていたとして、私がお家の中に入って「ハイチーズ」とウサギを撮るなら、どういう風に撮るだろう。

……もっとウサギを大きくうつすかもしれない。

そうだ、ふつうに友達を撮ったようなサイズ感で大きくうつそう!

と、ひらめいたものの、私のかまえる一眼カメラではあんまり大きく写せない。

ズームもできないし、かといって近寄るとピントが合わなくなるのだ。

「やっぱ使えないなこのカメラ」

そうしてサイズ感との戦いは始まったのである。

2019年7月撮影

散々一眼カメラを責めておいてアレなのだが、大きくうつせないのは全然カメラのせいじゃなかった。

シンプルに、くっついているレンズが「小さいものを大きく写す用のレンズ」ではなかったのだ。

第1の解決アイテム

マクロレンズ。

マクロレンズとは「小さいものを大きく写す用のレンズ」である。

実はこのマクロレンズにたどり着くまでに半年以上かかった。

……レンズにそんな種類があるなんて知らなかったのだ。

最初一眼カメラについて少しググってみたことはあるのだけど、難しい専門用語ばかりじゃぶじゃぶ出てきたので「あぁだめだ…私にはむりだ…」と、それ以来カメラについてほとんど調べようともしなかった。

なので私にとって一眼カメラとは「うちにあるコイツ」であり、機能についても「コレ回すとなんか明るくなる」「コレ回すとなんかピントが合う」くらいの認識。

撮るものに合わせてレンズを変えようなんて高度なことは、思いつきもしなかったのである。

マクロレンズをつけた見た目はこんな感じ。

初期装備とたいして変わり映えしないけれど、レンズが変わったのは革命だった。

2020年3月撮影

ふつうに人間を撮るようなサイズ感でシルバニアファミリーを撮れるようになったのだ。

2020年3月撮影

家具もお料理も、大きく画面いっぱいにうつすとなんだか本物みたいに見える。

ひとつ理想に近づいて、写真を撮るのはグンと楽しくなった。

2020年3月撮影

ちなみにこのレンズも父のおさがり。

古いのは相変わらずで40年前のレンズなので、今までどおりピントやらボケ具合やらは輪っかをグルグル回して調節する。

最初は訳の分からなかった調節も、この頃にはすっかり慣れていた。

寄り道

マクロレンズに出会う前。

「お人形をもっと大きくうつしたい」

「でもこの一眼カメラでは無理」

というわけで半年以上、お人形に近づいて撮るときはデジカメ(家にあったやつ)に逃げていた。

2019年10月撮影

デジカメのレンズは一眼カメラのそれよりも融通が利くのだ。

けっこう近寄れて、大きくうつせる。

シャッター押すだけで撮れるし。

自動でピント合うし。

ありえないほど明るいor暗い写真になる失敗もないし。

2019年11月撮影

このデジカメのおかげで「写真撮るのたのしい」と思えたから、写真から離れずにすんだ。

ただ「一眼カメラでプロっぽい写真」という野望からは遠ざかってしまった。

そして、大きくうつすことに目が慣れてくるとなんとなくコレジャナイ感も出てくる。

2019年11月撮影

大きくうつっているというよりは「近づいて撮ってるだけ」みたいな、なんというか独特の圧迫感というか歪みというか……。

当時「ズームしたら画質は落ちてしまうだろう」とデジカメが悲鳴を上げるほど近寄って撮っていたので、そのせいかもしれない。

そんな圧迫感や歪みも、マクロレンズは解決してしまった。

というわけでデジカメでシルバニアを撮ることはなくなったけれど、このデジカメには感謝している。

おかげで写真の楽しさを忘れずにすんだ。

第2サイクル「明るさとの戦い」

2019年12月撮影(気に入っている写真だけど暗い)

私のぬい撮りライフを振り返ってみて、いちばん大変だったのは明るさとの戦いである。

実は第1のサイクル「サイズ感との戦い」とずいぶん時期はかぶっているのだけど、解決したのはこちらの方が少し遅かったので一応第2のサイクルとしよう。

この戦いもまた、半年以上に及んだ。

窓からの日差しでぬい撮りをしていたので、明るく撮れるかどうかはすべて天気次第だったのだ。

2019年12月撮影(これもまた暗い)

天気予報にガンを飛ばし、曇り空にメンチを切り、太陽にふりまわされる日々。

とにかく照っていれば良い写真が撮れそうなものなのに、真昼の直射日光ガツンガツンは影が強く出てしまうせいでやさしい雰囲気にならない。

ベストはよく晴れた日の午後3時から2時間。

部屋全体にふわっと明るく柔らかい光の差すこの2時間がベストである。

とか言ってるとマジで写真を撮れない。

さあ午後だ晴れてるぞとシルバニアファミリーを出してお家に家具を並べて、いよいよ良い時間帯だと思ったところで曇ってきたり。

2020年2月撮影(やはり暗い)

自然光は日々気ままだし、冬が近づくにつれて日暮れの時間はどんどん早まり、ベストな時間帯も少しずつ変わってくる。

2019年10月撮影

これは太陽光で撮ったなかでも最高にお気に入りの一枚。

あまり明るくはないけれど、ふわっと柔らかい雰囲気を出せたと思う。

そんな感じで太陽光はバッチリ撮れれば最高に好きな雰囲気なのだけど、なかなかタイミングが難しい。

そのうち、天気がいいほど「はやく家具を並べていい写真を撮らねば」と緊迫するので、曇ると安心するようになってきた。

今日は写真から解放されたとホッとするのである。

もうまったく健全じゃない。

明るさとの戦いは限界を迎えていた。

第2の解決アイテム

ストロボ。

という名のどでかいフラッシュだ。

太陽にふりまわされない日々を夢見てググっていたところ、見つけた。

ストロボはすごい。

太陽光に近い。

びっくりした。

このストロボを天井に向けて発射すると、天井から跳ね返って柔らかくなった光(ほぼ太陽光)がシルバニアファミリーに降り注ぐというわけである。

こうやってカメラにくっつけて使う。

シャッターを切ると光る。

2020年3月撮影

感動……。

このストロボたった1つで、天気との戦いはあっさり終わった。

曇りだろうと雨だろうと、めちゃめちゃ明るい写真を撮れるようになった。

第3サイクル「体調との戦い」

2020年4月撮影

ストロボでめちゃめちゃ明るくなったのだが。

ストロボには、大きな問題があった。

でかい。

重い。

この1キロ以上ある物体をシルバニアファミリーの目線(床から5センチくらい)で構えていたら、ものすごく無理な力がかかって首と肩と背中がやばいくらい凝った。

かといってストロボの光は、一度味わってしまったらもう不安定な太陽光には戻れないくらい魅力的。

なので無理して撮っていたら体調を崩した。

第3の解決アイテム

リモコン。

ややこしい名前がついているのだけども、よく分からないのでリモコンという名前でゴリ押そうと思う。

これは片方をカメラにくっつけて、もう片方をストロボにくっつけることで、

こんなふうにカメラとストロボを離して置けるのである。

ストロボをどこに置いてもシャッターを切れば同時にストロボが光ってくれる。

このリモコンもまた父のおさがり。

数年前だったら「こんなもの買ってるからうちは貧乏なんだなぁ」と思っただろうし今も思わなくはないけれど、感謝である。お父さんありがとう。

というわけで、首肩背中をいちじるしくヤってしまう日々は終わった。

しかしそれだけではない。

このリモコンには、思わぬ副産物があった。

2020年4月撮影

この写真は、リモコンを手に入れる前。

2020年5月撮影

そしてこの写真は、リモコン入手後。

思いがけず写真の雰囲気は大きく変わったのだ。

というのも、シルバニアファミリーのお家の外にストロボを置けるようになったので、

「窓の外が明るくてお家のなかは外よりも薄暗い」

という現実世界の光のバランスを再現できるようになったのである。

2020年5月撮影

光がリアルだと、お人形や小物の質感まで何だかリアルに見えることに気づいた。

お人形を大きくうつさなくても、本当に生活しているような雰囲気になる。

光の魅力。

スバラシイ。

第4サイクル「ピントとの戦い」

2020年4月撮影

さて、まだ戦いは終わらない。

ふりかえってみれば、ここまでの間にマクロレンズで大きくうつせるようになり、ストロボで光をゲットし、リモコンで光を自在に操れるようになった。

ずいぶん納得のいく1枚を撮れるようになってきた。

が、しかし。

納得のいく1枚ができるまでの枚数はかわらず多い。

たとえばこの写真は納得のいく1枚になるまで大体80枚くらい撮った。

なぜ納得がいかないかというと、なんか高尚なこだわりがあるとかだったら格好いいのだけどそんなことは全然なく、ピントがばっちり合わないからだ。

あと多分手ブレもしている。

「なんでだ」「これでどうだ」「これでもか」とシャッターを切っているうちに枚数ばっかり増えてしまう。

三脚をつかってカメラを固定できればいいのに。

第4の解決アイテム

三脚。

うちに三脚があるのは知っていたけれど、最近まで「この三脚はあんまり使えないだろう」と思っていた。

シルバニアファミリーと同じ目線で撮るためには床スレスレでカメラを構えなくてはいけないけど、三脚をいちばん低くしてもまだ全然足りない。

だから三脚を活用するためには、シルバニアファミリー用にもっと低くできる三脚を買うしかない。

しかし出費はなるべく抑えたい。

悩んだ。

そして「今までも何十枚か撮ってその中から1枚選ぶという作業はしてきたし、まぁ、いいか」とあきらめた。

ここでまた父に助けられる。

「逆さまにつけたら?」

oh……。

三脚にカメラをくっつけるための部品というのは普通、三脚の上部分に付いているのだけど、それを外して下側に付けることもできるらしい(できない三脚もある)。

2020年6月撮影

ピントを合わせるのがめちゃくちゃ楽になった。

さらに、最初に三脚を置いてから、ちょくちょくカメラをのぞきつつ家具のバランスを整えたりもできるようになった。

ワンダフォー。

まとめ

ビフォー(2019年7月撮影)
アフター(2020年6月撮影)

振り返ってみると、父のおさがりをかき集めて成り立っている一眼カメラライフであった。

写真の雰囲気はずいぶん変わったし、私の出したい雰囲気はすこしずつ出せるようになってきたけれど、いま見ると1年前の写真もけっこう好きだ。

シルバニアファミリーに再会した時のわくわくを思い出せる。

ぬい撮りはやっぱり楽しむのが一番なんだなぁ、とこの記事を書きながらあらためて感じた。

2020年6月撮影

これから一眼カメラをはじめる人にひとつ伝えたいのは「私ほど悩むことは無いと思う」ということだ。

なぜなら、私の使っているカメラ&レンズが現代の波にすっかり乗り遅れた化石だから。

これから新しくちゃんとそろえる人はたぶん、デジカメのような使い心地でカンタンに一眼カメラのプロっぽい仕上がりを味わえるんじゃないだろうか、羨ましいからあんまり信じたくないけど。

そして、ここまで「道具に助けられた!ストロボ最高!」と書いてきたけれども「ぜったい買ったほうがいいよ!」ということでは全然なくて、ストロボやらリモコンやら三脚やらは、必要を感じたときに買うのがちょうどいいタイミングだと思う。

最初から揃えるとお金もかかるし、どう役に立っているのか実感できないのにかさばるという、超うざい状態になりかねない。

「なんか光が足りないなぁ」と思ったとき、ストロボの存在さえ知っていれば私のように「とにかく天気と戦うんだぜ」とはならずに済むから、その程度に心に留めておいてもらえたら嬉しい。

2020年6月撮影

それでは、楽しいぬい撮りライフを。

グッドラック。

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